幸福学

持続的な幸福の創り方。効果的なポジティブ比や幸福の誤解について

現代人は繁栄に成功していますが幸福にはなれず、逆に不安症や抑うつ、パニック障害など、いわゆる不幸に苛まれています。SNSやメディアの影響により幸福への誤解が生じ、不幸の芽を摘んでしまっているかもしれません。その対策をここに記します。

進歩のパラドックス

現代の世界において食べ物や住まいや暖かさなどの、基本的な要求は大抵満たされています。満たされていないのは他者との結びつきや、生きることの意義などが多く当てはまります。これをアメリカの作家のグレッグ・イースターブルック氏は「進歩のパラドックス」と呼んでいます。

グレッグ・イースターブルック氏の調査によれば、アメリカとヨーロッパでは1950年代からこれまでの半世紀を超える歳月で、富は目覚ましく向上したが、人々の幸福度は横ばいで、しかも不安や抑うつの発症率は大きく上昇しているとされています。

その他複数の調査でも人々の幸福度は少しも増加しておらず、多くの人が未来について深い悲観を抱いているという結果が出ています。社会の物質的な豊かさとそこに住む人々が感じている、幸福や安心の度合いには何の関連も認められなかったのです。

より幸福であるためにすべきこと

より幸福でより豊かに栄える社会を築いていくために、私たちはどうすれば良いのでしょうか。

ひとつの方法は、不安障害や抑うつの増加に正面から戦いを挑むことでしょう。これらの失調に苦しむ人々は今、地球上で何百万人にもなります。そして患者1人につき少なくとも、5人の家族や親族が影響を受けると言われています。誰かがこうした失調に見舞われれば、家族だけでなく職場の同僚や地域の人々も無関係ではありません。身近な他人の幸福は自分にかかっていると言えます。家族や友人のためにもまず自分が幸福であれるよう、日々努力をしましょう。

不幸の芽を摘むことに気をとられてはいけない

幸福感が増すような要素を積極的に見つけることが大切です。あれこれ思い悩んでも基本的にそれは現実で起こっていることではありません。今、目の前のこと以外は妄想でしかないのです。過去についてくよくよと考えるのも不安な将来を思い描くのも、無益なだけでなく怠惰にすぎません。

重要な発見が科学的な研究からもたらされています。人が本当の意味で幸福になれるのは次の3つの要素が合わさった時だけということです。

  1. ポジティブな感情や笑いを数多く経験すること
  2. 生きるのに積極的に取り組むこと
  3. 今日明日ではなくもっと長期的な視野で人生に意義を見出すこと

私の場合は猫を飼うようになってから、よく笑うようになり幸福感が上がったと感じています。日々の学習やトレーニングなどで、生きることに積極的に取り組めていると思います。自然豊かな山のふもとに親戚が土地を持っているので、そこを買い取り、別荘または住まいを建てるのが長期的な目標としています。ポツンと一軒家が私の理想郷です。

不幸の芽を摘むことばかりに気を取られるず、上記の3点のようなことに意識的に取り組んでいきましょうということですね。

悪いことを考えて妄想してしまっている時は、感覚に意識を向けるのがオススメです。無駄な思考が入ってこなくなり、悪い意識はいつの間にか消えてなくなることが多いです。感覚に意識を向ける例として下記にまとめました。

  • 歩いているときは足の裏の感覚に意識を向ける
  • タイピングしているときはキーボードの感覚を意識する(ミスをしない)
  • 水を飲むときはコップに触れている感触や水が喉を通る感覚を意識する
  • 猫を撫でるときはぼんやりではなく手の感覚に意識を向ける
  • イライラしたら呼吸の感覚に意識を向ける(酸素が鼻腔を通る感覚など)
  • 食器を洗う時はスポンジと食器に意識を向ける
  • とにかく目の前の作業に意識を向ける(手の感覚や足の感覚など)

よく巷で言われるマインドフルネスというものです。無駄な妄想状態に入ってしまった時は、目の前で起こっていることに感覚を意識してみましょう。不幸の芽を積まない状態を作り出せば、その分幸せを感じやすくなります。

幸福に対する誤解

幸福に関する複数の調査からは一貫して、より良い仕事やより良い家、より良い車などのいわゆる「ものごと」が、高い幸福感の継続にはつながらないという意外な結果がもたらされています。

売る側が何をどう言おうと、ブランドものの腕時計や洋服、最新版のスマホなどは長期的には人の幸福度を少しも高めてくれてはいないのです。

住む家があり十分に食べ物がある基本レベルの豊かさがあれば、それ以上にどれだけお金があっても人が感じる幸福度にはほとんど差が生じません。これは複数の研究から明らかにされている事実です。

人を幸福にするのは、自分にとって大きな意味のある何かに積極的に取り組むことです。大きな目的に向かって没頭したり、意味・意義がある目標に到達するために努力を重ねましょう。

ポジティブとネガティブの黄金比

幸福になる方法のエキスパートである心理学者バーバラ・フレドリクソンは、日々の生活にポジティブな感情をより多く見出すことを提唱しています。フレドリクソン氏が発見したのが、ポジティブ3:ネガティブ1という黄金の比率です。

この数字が示すのは幸福で豊かな人生を送りたければ、ネガティブな気持ちをひとつ感じるごとにポジティブな気持ちを三つ感じるべきということです。ポジティブな感情とは、例えば驚嘆や思いやり、満足、感謝、希望、喜び、性的欲望などです。ネガティブな感情とは怒りや軽蔑、嫌悪、困惑、不安、悲しみ、恥などになります。

フレドリクソン氏は下記の通り述べています。

「もし人生に成功したいと心から願うなら、ネガティブな感情を全部排除しようとしてはいけない。それよりも大事なのは、ネガティブひとつにつき、ポジティブ三つという比率を守るように努力することだ。」

フレドリクソン氏の研究によると、大抵の人はネガティブな感情ひとつにつきポジティブな感情をふたつは体験しているようです。この比率でもまるきりダメなわけではありませんが、ポジティブな感情を2から3に引き上げられれば、人は真に豊かで幸福な人生へと歩み出すことが可能です。

過去の体験は幸福だったことを思い出すようにする

私はこの黄金比をもとに私生活をあらためています。例えば過去の思い出から、ネガティブな体験を思い出すことはないでしょうか。これをやめ楽しかった思い出に置き換えるだけで、幸福感が増しました。幸福感が増すということは成功しやすい体質になると言えます。

幸福優位7つの法則の著者でありポジティブ心理学、第一人者のショーン・エイカー氏によれば「自分は幸せだ」と思えるほど、よい結果を生んでいます。「幸せ」が先で「成功」があとに続きます。

思考体験もポジティブ3:ネガティブ1を目指しましょう。きっと幸福になれます。

逆に嫌な思い出を思い出してしまった時は、その矛先を努力に向けましょう。ただ嫌な思いをしてしまっては、何の足しにもなりません。考えを改めれば基本的に、人生には良いことしか起きないのです。

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