幸福な人生を送るためには、ポジティブな感情が欠かせません。
では我々人間が共存する中で、どれぐらいポジティブな感情で他人に接せればよいのか。また、ネガティブ感情は果たして必要なのか。
大規模な研究の結果その相互作用が明らかになりました。
ロサダライン
心理学者でありビジネスコンサルタントのマルシャル・ロサダ氏が、10年間に及ぶ莫大な研究に基づき示し出された数値によると、「メンバー間のポジティブな相互作用と、ネガティブな相互作用の比率」が、最低でも2.9013対1でなければならないということを突き止めました。
ポジティブな発言対、ネガティブな発言の比率が2.9013対1を上回る会社では経営状況が良好で、その比率を下回る会社では悪化していたのです。
つまり、1つのネガティブな意見や表現の悪影響を打ち消すのに、約3倍の量のポジティブな意見や表現が必要だということです。
この転換点はマルシャル・ロサダ氏の名前を取ってロサダ比、またはロサダラインと呼ばれています。
私は個人事業主で3人程度従業員を雇い入れています。このロサダ比の事実をしってからは、社内のポジティブな度合いを意識するようにしました。
すると気分は良いですし、以前より幸福感も高まったと感じています。そして、何より生産性が安定しています。
理想的なポジティブとネガティブの割合
ポジティブとネガティブの割合がこのライン以下だとチームの生産性が一気に落ち込み、ラインを上回るとチームは能力を最大限に発揮し生産性が上がります。
調査結果によると、ポジティブ対ネガティブが6対1ぐらいが理想だと言われています。
しかしポジティブ感情研究の第一人者で、テンプルトン財団によるポジティブ心理学研究のための、10万ドルの助成金、初の受賞者となったバーバラ・フレドリクソンによれば、
「ポジティビティが多過ぎてもいけません。人生は帆と舵付きの船なのです。ネガティブな舵なしで比率が13対1を上回る場合、ポジティブな帆はあてもなきはためき、信頼を失いかねません。」
と述べています。
確かに、まったくネガティブな要素を含まないのは不自然です。
指摘する部分やネガティブ要素があるため進歩があります。
私はチームのリーダーでもありますので、やはり間違いや失敗を指摘する機会があります。
ポジティブな帆もネガティブな舵も、ロサダラインを目安としバランスよく取らなければなりません。
恋人同士の理想的なポジティブ比
社内の理想的なポジティブな発言対ネガティブな発言の比率は分かりましたが、では家庭内やカップルの比率はどうなのでしょうか。
ワシントン大学の心理学名誉教授、ジョン・ゴットマン氏が研究の結果統計値を算定しました。
週末の間ずっとカップルの会話を聞いた統計値(すごい研究だ!)によると、なんと先程のロサダ比、2.9対1では離婚を招くということでした。
絆が強く愛情に溢れた結婚生活を送るためには、5対1の比率が望ましいようです。言い換えれば配偶者を非難するたびに、5つのポジティブな発言が必要なのです。
例えば、カップルがポジティブな発言対ネガティブな発言の比率を1対3でやっているのであれば、その二人には間違いなく破局が訪れるでしょう。
家庭内の場合の例
以下は前述したバーバラ(バーブ)・フレドリクソンの講義を受けていた女性の発言です。
「バーブの話は職場のチームのことでしたが、私がひたすら考えていたのは私の家の『チーム』、家族のことでした。(中略)私の一番上の息子とのやりとりが、1対1くらいだとすぐに気づいたのです。私たちは息子の正しい行為ではなく、間違った行為に目をやるというスタイルに慣れてしまっていました。(中略)バーブの話の中から、今までとは違った方法で対処していくヒントも得られたからです。息子を心から褒めてやり、何か気楽なことから会話を始めて、それから学校での勉強のことや、息子の車の運転が乱暴なことなど、私がたしなめようと思っていたことを話すという段取りを心に描きました。私は家に帰って、早速その通りに試してみたいと思ったのです。」
こう話していた女性はその4年後には、
「息子は20歳になりましたが、私たちの関係は今までよりずっとよくなりました。ポジティブ比がすべてを変えたのです。」
と語っています。
つまり家庭内でも「ポジティブな発言対ネガティブな発言」の比率を意識して過ごせば、幸せな家庭を築き上げることが可能ということです。
簡単ではないかもしれませんが、ここに信憑性の高い研究に基づいた目安があります。
家庭内やカップル間では5対1を目安にポジティブな会話を心がけてみましょう。
まとめ
- チームの生産性を良好に保つためには最低でも3対1の比率を意識する
- 最大限チームの生産性を上げたい場合は6対1を目安にする
- 絆が深く愛情に溢れた結婚生活を送るためには5対1
- 家庭内でも5対1を目安にする
あとがき
私は、この事実を知っていれば、あの時の恋愛がもっと上手くいったかも知れない。あの子との恋が芽生えたかも知れない。なんて考えましたね(笑)
ハーバード大学修士号取得のポジティブ心理学第一人者のひとり、ショーン・エイカー氏は幸福だから成功すると述べています。
多くの人が思っている「成功」の先に「幸せ」ではなく、実は「幸せ」の先に「成功」があるのです。
もちろん成功の後に幸せがくるパターンもありますが、現在科学的に示唆されているのは「幸せ」を先にしたほうが成功率が高いということです。
そのためにはポジティブ心理学を学ぶことは、人生に優位な影響を及ぼすことでしょう。
現代社会は幸福に飢えています。
幸福学やポジティブ心理学を学ぶことをお勧めいたします。
楽しくて幸せだから成功するんです。
記憶の定着のために忘れた頃に、またこのブログを読んで思い出していただけると幸いです。
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