「なぜあんな言い方をされなきゃいけないの?」

「どうして自分ばかり損をするんだろう……」

日々の生活の中で、ささいなことにイライラしたり、誰かの一言に深く傷ついてしまうことはありませんか?

持続的な幸福(ウェルビーイング)を実現する上で、最大の障害となるのは「外的な出来事」そのものではなく、それに対する私たちの「反応」です。

元自衛隊の心理カウンセラー・下園壮太氏による著書『寛容力のコツ』は、根性論で「許そう」と説く本ではありません。心理学的なメカニズムを理解し、**「心のエネルギーを守る技術」**を教えてくれる一冊です。

1. なぜ私たちは「不寛容」になってしまうのか?

エネルギーの法則

「最近、怒りっぽくなった」「以前より傷つきやすくなった」と感じるなら、それはあなたの性格の問題ではなく、**「心のエネルギー不足」**が原因かもしれません。

「わかっちゃいるけどイライラする」の正体

本書では、人間には「理性の脳」と「原始的な脳」があると説明されています。

  • エネルギーが満ちている時: 理性が働き、「まあ、そんなこともあるよね」と寛容になれる。

  • エネルギーが枯渇している時: 原始的な脳(防衛本能)が優位になり、ささいな刺激を「攻撃」と見なして過剰に反応してしまう。

【幸福へのヒント】 寛容になれない自分を責めるのは逆効果です。「今はエネルギーが減っているサインだ」と気づき、まずは自分を休ませることが、幸福への第一歩となります。

2. 「正義の味方」が自分を苦しめる?

思考のクセを外す

私たちが怒りを感じる時、そこには必ず**「〜すべき」**というマイルール(正義)が存在します。

  • 挨拶をされたら、返す「べき」だ。
  • 仕事は、完璧にこなす「べき」だ。
  • 友達なら、自分の気持ちを察する「べき」だ。

この「べき」が強ければ強いほど、それに反する他人や自分を許せなくなります。しかし、他人は他人のルールで生きています。

寛容力を高める「グレーゾーン」の受容

持続的な幸福を手にしている人は、白黒はっきりさせない「グレーゾーン」を持っています。

「自分の正解」を相手に押し付けず、「相手には相手の事情があるのだろう」と想像する余白を持つこと。これが、不要な衝突を避け、心の平穏を守るコツです。

3. 「傷つきやすい自分」を守る3つのステップ

本書では、繊細で傷つきやすい人が「心のバリア」を張るための具体的な技術が紹介されています。

① 反応を「遅らせる」

嫌なことを言われた瞬間、すぐに言い返したり、自分を責めたりしてはいけません。

「あ、今自分はショックを受けているな」と一歩引いて観察するだけで、感情の波に飲み込まれるのを防げます。

② 期待値を「0(ゼロ)」にする

他人に期待するからこそ、裏切られた時に傷つきます。

「やってくれたらラッキー」というスタンスを持つことで、日常のささいな親切に感謝できるようになり、幸福感が高まります。

③「心のシェルター」を確保する

誰にも邪魔されない時間や場所、あるいは没頭できる趣味を持つこと。

外の世界で何があっても「あそこに戻れば大丈夫」と思える場所があることが、寛容さの源泉になります。

4. 持続的な幸福のための「寛容力」の実践

ブログ「持続的な幸福のつくり方」が目指すのは、一時的な高揚ではなく、静かで深い幸福感です。そのためには、**「自分自身に対する寛容力」**が欠かせません。

完璧主義を手放す

「寛容にならなきゃ」と頑張りすぎるのも、一種の不寛容です。

  • 怒ってしまった自分を許す
  • 何もできなかった一日を許す
  • 他人を嫌いな自分を許す

このように、自分の中の「ダメな部分」を否定せずに受け入れる(セルフ・コンパッション)ことができて初めて、他人に対しても自然と寛容な目が向けられるようになります。

 

まとめ:寛容力は「技術」である

『寛容力のコツ』が教えてくれるのは、**「寛容とは、相手を許す慈悲の心ではなく、自分がラクに生きるための技術である」**ということです。

  1. エネルギーを貯める(睡眠・休息)
  2. 「べき」のハードルを下げる
  3. 自分自身を一番に許す

以上の3つを意識するだけで、あなたの日常からトゲが消え、心地よい幸福感が定着し始めるはずです。

もし今、何かにイライラして心が波立っているのなら、まずは深く息を吐き、自分に「お疲れ様」と言ってあげてください。

あなたの幸福は、そこから再スタートします。

参考文献