効率を捨て、「愉しさ」を育てる――ドラクエ3とレトロゲーム・マネーマインド
私たちは、いつから「最短ルート」や「効率」ばかりを求めるようになったのでしょうか。
SNSを開けば「タイパ」や「コスパ」の言葉が踊り、無意識のうちに誰かに用意された「楽な楽しさ」を消費することに慣れきってしまっています。
本カテゴリー「レトロゲーム・マネーマインド」の第2回目として、あえて不便で困難な冒険を選ぶことが、いかに私たちのマネーマインドを豊かにし、無駄な支出から守ってくれるのかを考察します。
電池交換という「儀式」が教える資産の愛し方

今回の冒険は、カセットのバックアップ用電池を自分の手で交換することから始まりました。
現代のゲームはクラウド保存が当たり前ですが、レトロゲームは「自分で手をかけなければ、消えてしまう」という脆さがあります。
自分で道具を揃え、内部の仕組みを理解し、メンテナンスを施す。このプロセスを通じて、その対象は単なる「消費財」から、愛着のある「資産」へと変わります。
実はこのマインドセットは、お金との付き合い方にも直結します。
流行のものを買っては捨てる「使い捨ての消費」ではなく、手元にあるものを手入れして長く使い続ける。
この満足感を知っている人は、新しいものを次々と買い足さなくても、すでに持っているものから喜びを引き出すことができます。
電池を交換した瞬間に灯る「冒険の記録」は、どんな高価な最新ガジェットよりも、私に深い充足感を与えてくれました。
※ドラゴンクエスト3のカセットは友達から500円で購入しました。笑
「あえて困難を選ぶ」パーティ構成の贅沢

今回のパーティ構成は、勇者(女)、戦士(男)、遊び人(男)、魔法使い(女)です。
効率を優先するなら、回復の要である僧侶を入れるのが定石(じょうせき)でしょう。
私はあえて「冒険が程よく困難になるメンバー」を選びました。
なぜ、あえて苦労を買って出るのか。 それは、「与えられた楽しさ」を消費するのではなく、自ら「愉しさ」を創り出すためです。
魔法が尽きれば全滅しかねない緊張感、命令を聞かない遊び人に振り回される苛立ち。
一見すると「マイナス」に見えるこれらの要素が、冒険に奥行きを与えます。平坦な道を進むだけの旅に、ドラマは生まれません。
困難があるからこそ、それを創意工夫で乗り越えた瞬間に、自分自身の内側から「愉しい(喜び)」が湧き立ちます。
これはマネーマインドにおいても同じです。
「お金を払って楽をする(外食や便利なサービス)」だけでは、一時的な快楽は得られても、心からの満足感は得にくいものです。(※ちなみに私はめっちゃ料理をしますが、栄養バランスを考えて色んな料理に挑戦することはすごく愉しいです。)
あえて手間をかけ、工夫し、限られた予算(リソース)の中で生活を豊かにしようとする「不便さの愉しみ」を知ることは、依存的な消費から脱却する最大の武器になります。
「苦」を内包するからこそ生まれる「愉」
今の世の中は「苦(不便、痛み、待ち時間)」を徹底的に排除しようとしていると思います。
楽な遊びだけでは、やがて飽きが来ます。消費されるだけの「楽しい(Amusement)」は、常に外からの刺激を必要とするため、結果として次のお金(支出)を要求し続けます。
一方、レトロゲームの冒険にあるのは「愉しさ(Enjoyment)」です。
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不自由さ: 制限されたスペックやシステム。
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忍耐: レベル上げや、思い通りにいかない展開。
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主体性: 自分で地図を思い描き、解決策を考える。
これら「苦」の要素が含まれているからこそ、私たちのマインドセットは研ぎ澄まされます。
遊び人の予測不能な行動に笑い、厳しい戦闘を乗り越えて宿屋に辿り着いた時の安堵。それは、誰かにプログラムされた快感ではなく、自分の主体性が勝ち取った報酬です。
この「自分で自分を喜ばせる力」を身につけると、人はお金をかけなくても幸せになれることに気づきます。
承認欲求を満たすために高価なものを買う必要も、退屈を紛らわすためにサブスクを増やす必要もありません。
自分の内側から湧き立つ「愉しさ」を知っている人は、経済的にも精神的にも、究極の自立を果たせるのです。
結びに:レトロゲームは「心の複利」を生む投資
ニューファミコンでドラクエ3を遊ぶことは、単なる現実逃避ではありません。
それは、ノスタルジーを通じて「本来の自分」を愛し直し、手間をかける豊かさを思い出し、困難を楽しむレジリエンス(回復力)を鍛える知的な投資です。
遊び人が将来「賢者」に化けるのを待つのと同じように、今この不便な冒険を楽しんでいる時間は、将来の私にとって「無駄な支出を必要としない強固なマインド」という大きな資産(心の複利)となって返ってきます。
効率的な攻略チャートは必要ありません。
自分だけの、少し不自由で、だからこそ愛おしい冒険を楽しみましょう。
その一歩一歩が人生の「マネーマインド」を、誰にも奪われない幸福なものへと書き換えてくれるはずです。
